四万温泉の起源は二説あり、一つは桓武天皇(737〜806)の御代に征夷大将軍として蝦夷征伐に来た坂上田村麻呂が、 この地で入浴したことが始まりという物です。
もう一つは、延暦年間(782〜806)に源頼光の家臣で、渡辺綱、坂田金時、卜部季武と共に四天王として勇名を轟かせた日向守碓氷貞光が、 越後から上野国に越えるときにこの四万の地に訪れて、山のたたずまいや谷川の響きに心を澄まし、夜もすがら読経をした。 夜半の頃、どこからともなく童子があらわれていうのに、
『汝が読経の誠心に感じて四万「よんまん」の病悩を治する霊泉を授ける。我はこの山の神霊なり。』
夢うつつにこの神託を聞いた貞光は、覚めて後に湧出する温泉を見つけた。
この事に感じた貞光は、一宇の堂を建立して自らの守本尊の薬師如来を安置し、日向守貞光寺薬師瑠璃如来と号し、温泉は「御夢想の湯」と呼び、神託にちなんでこの地を四万「しま」の郷と名付けたという伝説です。